地球外生命体の“兆候”を捉えた?宇宙生物学の歴史を塗り替える発見か
地球から124光年離れた系外惑星「K2-18b」に、生命の存在を強く示唆する化学物質が検出された――。この驚くべきニュースが世界中の天文学者と宇宙ファンを騒がせている。観測を行ったのは、NASAと欧州宇宙機関が共同開発した「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」だ。
K2-18bとは?地球と海王星の中間の“ハイセアン惑星”
2015年にNASAのケプラー宇宙望遠鏡によって発見されたK2-18bは、しし座方向に位置し、地球の約2.6倍の大きさと約8倍の質量を持つ「サブ・ネプチューン型惑星」だ。主星K2-18の“ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)”を33日で公転しており、表面に液体の水が存在できる環境と考えられている。
さらにK2-18bは、「水の海」と「水素に富んだ大気」を持つ“ハイセアン惑星”とされ、生命存在の有力候補として注目されてきた。
地球外生命体の証拠?DMSとDMDSを検出
今回の観測で注目されたのは、大気中に検出されたジメチルスルフィド(DMS)とジメチルジスルフィド(DMDS)という有機硫黄化合物だ。
これらは地球上では主に海洋の微生物や藻類によって生成される物質であり、“生命活動の証”ともされる「バイオマーカー」として知られている。
研究チームによれば、今回の検出は**誤検出の可能性が0.3%(3シグマ)**という高い信頼性を持ち、これまでにない“強力な証拠”として評価されている。
DMSとDMDSの濃度は地球の数千倍?
さらに衝撃的なのはその濃度だ。K2-18bの大気中には、地球の数千倍ものDMSとDMDSが存在している可能性があり、これは単なる微生物の活動ではなく、地球以上に活発な生物学的プロセスが存在していることを示唆している。
ただし、火山活動や未知の非生物学的プロセスによる生成の可能性も否定できないため、今後の追加観測が待たれている。
科学者たちはまだ慎重な姿勢――「決定打ではない」
NASAや他の研究機関の科学者たちは、「今回の発見は非常に有望だが、生命の存在を証明するにはさらなる検証が必要」と慎重な姿勢を示している。
実際に過去にも似たような“バイオマーカー検出”の例は存在したが、後に否定されたこともある。
今後ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡での追加16~24時間の観測が予定されており、5シグマ(偶然の可能性が350万分の1)の水準に達するかが注目されている。
観測宇宙生物学の夜明け――K2-18bは新時代の扉を開くか
ケンブリッジ大学のニック・マドゥスダン教授は、「我々は今、観測宇宙生物学の時代に入った」と語る。
地球外生命体の存在を探る旅は、もはやSFではなく、現実の科学として進行中だ。
K2-18bが“地球以外の生命”の可能性を示す舞台となるのか――人類は今、宇宙の真理に一歩近づこうとしている。
引用元・参考リンク
CNET Japan|系外惑星 K2‑18b に生命存在か、「最も有力な証拠」見つかる–期待を戒める声も
Gigazine|過去最高に有望な「地球外生命の兆候」が見つかる、124光年離れた「ハイセアン」惑星で
AFP BB News|ウェッブ望遠鏡、最有望の「生命の兆候」検出 英米研究チーム
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